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甲子園決勝最後の一球を徹底分析!最後はやっぱりストレート!?

time 2016/07/01

甲子園決勝最後の一球を徹底分析!最後はやっぱりストレート!?

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目次

覚えていますか?2006年夏の甲子園の決勝戦

2016年も7月に入り、いよいよ高校野球の季節がやってきました。
地域によっては、すでに地方大会が始まっている都道府県もあります。

高校球児たちの熱い熱戦が繰り広げられていくわけですが、アラサー男子にとって高校時代はもう10年以上前の話になるんですよね。
いやぁ、時が経つのは早い!

ところで、今から10年前の2006年の夏の甲子園大会はどんな大会だったか覚えていますか?

はい。

記録に残っている方も多いと思います。
決勝戦で早稲田実業VS駒大苫小牧の引き分け再試合があった大会ですね。
ハンカチ王子こと早稲田実業の斎藤佑樹投手(日ハム)と、大会2連覇中駒大苫小牧の怪物田中将大投手(ヤンキース)が多いに大会を盛り上げました。

また、この大会では60本のホームランが飛び出し(大会新記録)、智弁和歌山VS帝京の乱打戦(両チーム1試合最多本塁打7本)をはじめ打撃が目立った大会でもありました。

そんな2006年第88回大会のクライマックスは、引き分け再試合の9回表2アウト。
バッター田中将大が1ボール2ストライクから147キロのストレートを空振りし、ゲームセットを迎えました。

斎藤投手は前日からの連投にもかかわらず、最後に140キロ台後半の渾身のストレートを投げ込むという、なんとも気持ちの良いゲームの締め方をしました。

カッコイイですよね!

ストレートで三振を取るのは、力と力の真っ向勝負の結果。
ある意味理想的なゲームの終わらせ方と言ってもいいかもしれません。

夏の甲子園大会の決勝は、3年生にとっては勝っても負けても高校野球の終わりとなります。
最高のかたちで終わりを迎えたいという願いから、最後は力いっぱいのストレートを投げ込みたいと思っている投手は多いのではないでしょうか。

そこで今回、過去10年分の甲子園大会決勝戦の最後の一球を調べてみました
ストレートで三振を奪ってゲームセットというケースは、どのくらいあるのでしょうか?

夏の決勝 ストレートで空振り三振は4ケース

以下が、2006年88回大会決勝から2015年97回大会決勝のラストバッターの結果です。

大会 カウント 球数 球種 打撃結果
2006 1-2 6球目 ストレート 空振り
2007 1-2 4球目 スライダー 空振り
2008 0-0 1球目 スライダー ゴロ
2009 1-0 2球目 ストレート ライナー
2010 2-2 7球目 ストレート 空振り
2011 2-2 6球目 ストレート 空振り
2012 2-2 7球目 ストレート 空振り
2013 1-2 5球目 フォーク 空振り
2014 0-0 1球目 スライダー ゴロ
2015 2-1 4球目 ストレート フライ

※左から、大会・カウント・球数・球種・打撃内容の順に表記。
※カウントはボール・ストライクの順に表示

ストレートで三振を奪ってゲームセットとなったのは2006年のケースを含め4ケースありました。
球種を問わず三振をとった場合だと6ケースです。

野手が処理した場合は4ケース。
サヨナラゲームになったケースはありません。

そもそも三振を奪ってゲームを締めるには、2ストライクまで持ち込むことが必須条件。
2ストライクになる前にボールがフェアゾーンに飛び、野手のボール処理によるアウトでゲームセットの場合だってあるわけです。
なので、三振でゲームセットというのはハードルの高い締めくくり方と言えます。
ストレートで決めようとすればなおさらですね。

では、2ストライクまで追い込んだ6ケースについて少し詳しく見ていきましょう。

2006年のケース

2006年の決勝は早稲田実業VS駒大苫小牧
夏3連覇の期待がかかる駒大苫小牧を、ハンカチ王子として注目を浴びた斎藤投手要する早稲田実業が延長15回引き分け再試合の末、4-3で下しました。

2006年のケースでは、斎藤投手は0-2に追い込んだ後、3球目に落ちるボールを選択しています。
田中選手は何とかカットするのですが、ここで空振りゲームセットという結果もあり得ました。

この場面を見ると、斎藤投手はストレートで決めることにこだわっているようには見えません。
また、その変化球の後は、ストレート、変化球(スライダー?)、ストレート。
結果的に変化球後のストレートで空振りを奪ったという形になったのではないでしょうか。

2007年のケース

2007年の決勝は佐賀北VS広陵
8回裏に佐賀北が満塁ホームランで逆転するのですが、その前の審判の判定が物議を呼んだ決勝戦でした。

このケースでは佐賀北の久保投手の投球は、スライダー(S)、ストレート(B)、スライダー(S)、スライダー(S)。
※Sはストライク、Bはボール
ストレートは2球目だけですし、ストレートで勝負を決めにいっているようには見えませんね。
ちなみに、このときのバッターは広陵の野村選手(広島)でした。

2010年のケース

2010年の決勝は興南高校VS東海大相模
13-1という大量点差のスコアで、興南高校が春夏連覇を達成しました。

このケースでは興南高校の島袋投手(ソフトバンク)は、全球ストレートを投げ込んでいます。
バッターは2ストライクを取られた後、ボールを見極めたりファールで粘りますが、最終的に空振りでアウトになりました。

全球ストレートを投げていることからも、ストレートで決めようとしていた可能性は高いですね。
2ストライクを取った後のストレートはやや球速が上がっていました。
大量点差がついていたので、理想のかたちで決めに行く余裕があったのかもしれませんね。

2011年のケース

2011年の決勝は日大三VS光星学院(現八戸学院光星)
この試合も前年の決勝戦に引き続き11-0という大量点差をつけて、日大三が優勝しました。

このケースで日大三の吉永投手の投球は、2球スライダーがボールとなった後、4球続けてストレートを投じています。
スライダー直後のストレートはストライクを取るための投球でしょうが、追い込んだ後のストレートは決めにいっているように感じます。
最後に空振りを奪ったストレートは145キロでした。

このケースも大量点差がついていたことが、ストレートで決めにいった要因になるかもしれませんね。

2012年のケース

2012年の決勝戦は大阪桐蔭VS光星学院(現八戸学院光星)
3季連続で甲子園の決勝に進んだ光星学院を、藤浪投手(阪神)要する大阪桐蔭が下しました。

藤浪投手は3球目でバッター大杉選手を追い込みます。
追い込んだ後は、カットボール2球、ストレート、スライダーを投げ込み、最終的に152キロのストレートが決まりました

このケースも様々な球種を投じていることから、そこまでストレートにこだわっているようには見えません。
ただ、9回に150キロのストレートを投げ込んでいるわけですから凄いですよね。

2013年のケース

2013年の決勝戦は前橋育英VS延岡学園
1点を争う試合展開の末、4-3で前橋育英が勝利しました。

前橋育英の高橋投手(西武)の投球は、3球ストレートを投じて追い込んだ後、フォークを2球続けて試合を決めました。
このケースは明らかにストレートではなくフォークで決めにいっていますね。

なお、このとき優勝投手となった高橋投手はまだ2年生なので、3年間の締めくくりではありません。

バッターは追い込まれたらすべて三振

興味深いのが、2ストライクまで追い込まれたケース全てで、バッターは空振りでアウトになっていること。
2ストライクからファールで粘ったケースはありますが、フェアゾーンでアウトになったケースは一度もありませんでした。

甲子園大会の9回2アウトという「もう後がない」「自分が最後のバッターになるかもしれない」場面で、2ストライクまで追い込まれたらプレッシャーはとてつもないものでしょう。
冷静さを失ったり、委縮したり、本来の実力通りの働きができなくなっても、仕方ない面がありますよね。

野球はフェアゾーンにボールが飛べば何かが起こると言われたりもしますが、バッターにとってはそれすらも難しい局面なのでしょう。

選抜大会決勝 夏よりプレッシャーがかからない?

3年生にとっては、まだ夏の大会が残っている春の選抜大会についても同じように調べてみました。
選抜は2016年の大会が終了しているので、2007年から2016年までの10年間のデータです。

大会 カウント 球数 球種 打撃結果
2007 1-1 3球目 スライダー ゴロ
2008 0-2 3球目 スライダー 空振り
2009 2-2 7球目 スライダー フライ
2010 1-0 2球目 ストレート フライ
2011 0-2 3球目 ストレート 空振り
2012 1-1 3球目 ストレート フライ
2013 0-0 1球目 フォーク フライ
2014 3-1 5球目 ストレート フライ
2015 2-1 4球目 ストレート ゴロ
2016 0-0 1球目 ストレート 2塁打

※左から、大会・カウント・球数・球種・打撃内容の順に表記。
※カウントはボール・ストライクの順に表示

ストレートで三振を奪ってゲームセットは2011年の1ケースのみ
空振りを奪ったケースも2008年と2011年の2ケースしかありませんでした。

7ケースがフライやゴロなど野手の処理によるアウト。
残り1ケースは2016年選抜のサヨナラゲームです。

夏の大会に比べて、ストレートによる三振でゲームセットは明らかに少ないですね。
そもそも、バッターが2ストライクまで追い込まれたのが3ケースだけでした。

では、2ストライクまでいった3ケースを見ていきましょう。

2008年のケース

2008年の選抜大会決勝は沖縄尚学VS聖望学園
沖縄尚学が序盤から得点を重ね、9-0で聖望学園を下しました。

沖縄尚学のエース東浜投手(ソフトバンク)はバッターをストレート2球で追い込んだ後、スライダーで三振を奪いました。
スライダーはストライクからボールゾーンへ落ちる軌道

ストレートにこだわっている様子は無さそうですね。

2009年のケース

2009年の選抜決勝は清峰VS花巻東
清峰・今村投手(広島)と花巻東・菊池投手(西武)による投手戦の末、1-0で清峰が優勝しました。

今村投手はスライダー2球で2ストライクに追い込みます。
その後はバッターに粘られ、ストレートとスライダーを使いながら、最終的にスライダーでフライアウトを取りました。

今村投手は力強い速球を持っていますが、1点差の投手戦ということもあって形にこだわる余裕はなかったのかもしれませんね。

2011年のケース

2011年の選抜決勝は東海大相模VS九州国際大付
試合中盤に得点を重ねた東海大相模が、九州国際大付を6-1で下しました。

東海大相模の近藤投手は、初球ストレート、2球目カーブでバッターを追い込み、最後は140キロのストレートで決めました。
ラストボールのストレートは外角高めボールゾーンへ。
追い込まれたバッターがつい手を出してしまいそうなコースへストレートを投げ込んだことで三振を奪いました。

ストレートで決めにいったとは言えますが、ストレートで決めることにこだわっていたかというと微妙なところです。

バッターは比較的早打ち?

夏の大会と比べると、2ストライクまでバッターが追い込まれるケースが少なかったです。
また、夏の決勝では2ストライクに追い込まれたバッターはすべて三振を奪われていましたが、春は野手の処理によるアウトもありました

バッターが追い込まれるケースが少ないということは、積極的に打ちいっている証拠である印象を受けます。
最後となる夏の大会に比べて、春の大会はそこまでのプレッシャーがかからず、積極性が出やすい面があるのではないでしょうか。

また、緊張や委縮の度合いが小さいことで、フェアゾーンにボールを飛ばせる確率が上がっているかもしれませんね。

おわりに

最後はストレートの三振で試合を決めるのがカッコイイ!
多くの投手はラストボールはストレートで三振を奪りたいのではないか?

そんな仮説から過去10年間の甲子園決勝の最後の一球の傾向を調べてみましたが、どんな印象を持たれたでしょうか。

最後は渾身のストレートをど真ん中に投げ込んでゲームセット。
マンガのクライマックスのような憧れのシーンですが、現実的にはそれほど実行できる・実行されるわけではなさそうです。

データを見る限りでは、ストレートで決まったケースもありましたし、変化球でかわしているケースもありました。
結果的にストレートで決まったケースもあれば、ストレート勝負をしているであろうケースもありした。

もちろん、投手によって持ち味やこだわりによっては必ずしもストレート勝負を望むわけではないでしょう。
また、僅差の場面ではアウトを取る確率の高い配球を選び、ストレートと変化球を交えるでしょう。

基本的には、優先すべきは「とにかく優勝すること」なのだと思います

ただ、春の決勝と比べて夏の決勝は、ストレートの空振り三振でゲームセットするケースが多かったのは興味深いですね。
高校野球生活が終わりを迎えるそのシーンには、球児の3年間の様々な思いが詰まっているように感じます。

今年の甲子園大会の決勝はどんなクライマックスが見られるのでしょうか。
楽しみですね。

2016年夏のラストは!?【2016年8月22日追記】

2016年8月21日、作新学院と北海による決勝戦が行われました。
結果は7-1で作新学院が北海を下し、2016年夏のチャンピオンチームとなりました。

最後は9回裏2アウトから盗塁した2塁ランナーを、キャッチャーが3塁送球で刺してゲームセットという珍しい形での結末。

ラストボールという表現が適切かどうかは微妙な所ですが、キャッチャーが刺殺する前に投じられた一球は、作新学院の150キロ右腕・今井投手の138キロのカットボールでした。

大会 カウント 球数 球種 打撃結果
2016 1-1 2球目 カットボール ボール

※左から、大会・カウント・球数・球種・打撃内容の順に表記。
※カウントはボール・ストライクの順に表示

2017年選抜のラストは!?【2017年4月2日追記】

2017年4月1日、第89回選抜大会の決勝戦が行われました。

決勝戦のカードは大阪桐蔭対履正社。
史上初となる大阪勢同士の決勝戦は8-3で大阪桐蔭が制しました

この大会のクライマックスは、1アウト2塁1塁フルカウントでバッターがスライダーを打ってショートゴロ
ショート⇒セカンド⇒ファーストと渡ってダブルプレーでゲームセットとなりました。

大阪桐蔭のピッチャーは140キロ台の速球を持つ根尾投手でしたが、変化球を織り交ぜての投球でした。
状況的にゲッツー狙いの投球だったのかもしれませんが、試合を決めに行った1球というよりは結果的にラストボールとなった1球ではないでしょうか。。

大会 カウント 球数 球種 打撃結果
2017 3-2 7球目 スライダー ゴロ

※左から、大会・カウント・球数・球種・打撃内容の順に表記。
※カウントはボール・ストライクの順に表示

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