2017/03/15
週刊少年ジャンプ(以下、WJ)にて2002年から2005年まで連載されていたラブコメディ「いちご100%」。
連載回数167回は、WJのラブコメ作品の中では2015年に「ニセコイ」に抜かれるまでは最長の連載でした。
連載当時、アラサーのみなさんはちょうど物語のメインキャラクターたちと同じ中高生。
自分と同じ年代の男女が繰り広げる恋愛ストーリーを、毎週楽しみにしていたのではないでしょうか。
名作ラブコメの1ついちご100%。
物語を読んでいくと、恋愛はもちろんそれ以外についても大切なことを私たちに教えてくれます。
その最たるものが「行動することの大切さ」だと思うのです。
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目次
あらすじのおさらい
まずは、いちご100%のストーリーについて簡単におさらいしましょう。
主人公・真中淳平は映画監督になる夢を持った、見た目は普通の冴えない男子。
物語は淳平が中学3年生の冬、学校の屋上でいちごパンツを履いた謎の美少女と遭遇したところから始まります。
謎の美少女を学年一カワイイと評判の西野つかさだと思った淳平は、鉄棒で懸垂しながら告白という風変わりな方法で西野に交際を申し込みます。
見事に西野から交際OKをもらった淳平。
しかし、その直後に走り去る謎の美少女を見かけたことで、人違いで交際を申し込んだことに気が付きます。
謎の美少女の正体は、淳平と同じクラスの地味で控えめな女子・東城綾。
屋上で東城のノートを拾った淳平は、ノートに書かれていた小説を読んで彼女の小説家としての才能に気づきます。
東城の小説に感動した淳平は、西野への告白の直前に自身の映画制作の夢を東城に語っていました。
こうして人違いから学校一の美少女を彼女にした真中淳平。
そこから淳平の生活は大きく変わり、西野つかさや東城綾をはじめとする美少女たちから好意を持たれるようになっていきます。
淳平と美少女たちの間で繰り広げられる恋愛模様。
中学・高校生活を通して、最終的に淳平が選ぶ相手とは!?
選ばれた西野つかさ・選ばれなかった東城綾
連載当時もっとも注目を集めていたのは、「最終的に淳平が結ばれる相手」。
最終的に淳平が選んだのは、第1話で人違いで告白した相手・西野つかさでした。
連載序盤を読む限りでは、ほとんどの読者が淳平と最終的に結ばれるのは東城綾だと思っていたことでしょう。
作者の河下水希も最終巻のあとがきにて、連載当初は淳平と東城が結ばれてハッピーエンドになる予定だったことを明かしています。
しかし、全19巻という長期連載になっていく過程で、物語の進む道は大きく変わっていきました。
そして、最終的には当初の予定とは異なり、淳平は西野つかさと結ばれる展開でエンドを迎えたのです。
連載当初は淳平と結ばれる予定だった東城綾。
人違いから始まった恋愛から、最終的に淳平に選ばれた西野つかさ。
この2人の明暗を分けたものは「行動力の差」ではないでしょうか。
物語の終盤、西野つかさは淳平に対して交際を申し込みます。
中学3年生の時に淳平からの告白から始まった二人の交際は、約1年後に破局を迎えました。
しかし、その後再会を果たしたことで、二人はあらためて交流を深めていきます。
そして、高校3年生の9月16日(西野の誕生日)、今度は西野から淳平に告白。
ここから二人の再交際が始まります。
一方の東城綾は、高校3年生の10月・文化祭の直後に淳平に自分の思いを伝えます。
淳平と一緒に取り組んできた映画研究部の活動も文化祭をもって終了。
自分と淳平の接点が無くなることに気が付いた東城は、一人部室に残っていた淳平に「好きだ」という思いを告げました(東城は淳平と西野の交際を知ったうえで告白しています)。
しかし、淳平が選んだ相手は西野つかさ。
東城は淳平にフラれてしまうのでした。
物語を読む限り、淳平と東城が結ばれるチャンスはたくさんあったように感じます。
淳平が東城のことを好きだったのは間違いありません。
もっと早く自分の思いを淳平に伝えていれば、違う結果になっていた可能性は十分にあったのです。
しかし、東城にはそれができませんでした。
東城が行動に移したのは、淳平が西野と付き合っている最中で、部活を引退する直前。
淳平と付き合える可能性云々ではなく、好きであることを伝えるチャンスがもう残されていないと思っての行動でした。
物事にはタイミングというものがありますが、明らかに東城はタイミングを逸しています。
彼女が動いた時は、告白したとしても良い返事がもらえるタイミングではなかったわけです。
それは彼女自身もわかっていました。
「もう無理だとわかっているけど、言っておかないと後悔する」。
東城の淳平への告白シーンは、東城自身が後悔しないために負け試合に臨んだように映りました。
その先にあったのは、自分が納得するための最低限の材料だったのではないでしょうか。
だからもっと早く行動しておくべきだったんだよ!
傍から見ている分にはそう言いたくもなりますよね。
でも、考えてみれば、このようなケースって私たちの人生においてもよくあることではないでしょうか?
東城綾のケースのように、ずっと好意を寄せていた相手が誰かと付き合い始めてしまった。
その場ですぐに謝っておけば事なきを得たのに、意地を張った結果、人間関係がこじれてしまった。
先着X名限定サービスへの申し込みを迷っているうちに、締め切りになってしまった。
などなど・・・。
迷ったり躊躇っているうちにチャンスを逃すことは、考えてみればたくさんあります。
チャンスを逃して抱くのは「もっと早く行動すればよかった」という後悔の念ですよね。
手遅れになった段階で行動しても、結果はついてきません。
「やるべきことをやった」気がするだけ。
もちろん、これまで行動すら起こさなかった人にとっては、次につながる一歩ではあります。
東城のとった行動は、控えめな性格の彼女にとっては意味のあることだったと思います。
その意味においては、東城の淳平への告白は無意味なものではなく、今後の彼女の糧となったでしょう。
しかしながら、あくまで結果を求めるのであれば、手遅れになる前に行動に移すことが必要なのです。
行動したけど結果が出なかった北大路・天地
さて東城綾を例に、行動に移すことの重要性を説いてきました。
手遅れになる前にしっかり行動に移さないと結果は出ませんよ。
そんな感じ事を綴ってきたわけですが、1つ誤解しないでいただきたいことがあります。
それは、「行動したからといって良い結果が保証されるわけではない」ことです。
いちご100%には、かなり積極的に行動するキャラクターが登場します。
その代表格が女子なら北大路さつき、男子なら天地です。
淳平に好意を寄せていた北大路は、かなり積極的かつ大胆に淳平へアピールを繰り返します。
東城に好意を寄せていた天地も、東城に対してあからさまに好意を示し、アプローチを仕掛けています。
しかし、この二人の恋は成就することにはなりませんでした。
二人は全く相手にされなかったわけではありませんが、時として淳平や東城に疎まれているように見える場面すらあります。
ただ、誤解してはいけないのは、二人とも決して相手の気持ちに鈍感だったわけではありません。
形成が不利だと感じながらも諦めず、自分の気持ちに正直に行動し、猛アタックを繰り返していました。
その思い切りよさは清々しいとさえ感じます。
すでに結果の見えた段階で告白をした東城と違い、少なくとも勝負が決する前には土俵に上がっていたわけです。
行動しても結果が出ないことはあります。
行動の仕方が悪い場合もありますし、競合相手に左右されることもあります。
純粋に実力不足である場合もあるでしょうし、運が必要となることもあるでしょう。
しかしながら、行動すら起こさなければ結果は出ません。
結果が出る権利すら与えられないといっても言い過ぎではないでしょう。
それにしても、北大路と天地、この二人が結ばれたら面白かったのに・・・。
運命は行動次第で変わる!
すでに連載終了から10年以上経っている本作ですが、その結末は大きく賛否が分かれるものでした。
こういった恋愛ものの作品では、誰と誰をくっつけてほしいといった意見が結構あるようです。
登場する美少女キャラはみんな魅力的なので、自分の好きなキャラと主人公が結ばれてほしいと考えるのはファンの心理ですよね。
しかし、それ以上に大きな賛否の理由は、物語が淳平と東城を中心に進められていたにもかかわらず、西野つかさとのハッピーエンドだったこと。
上でも少し触れましたが、作者は連載初期の段階では淳平と東城が結ばれてハッピーエンドという構想をたてていました。
実際、紆余曲折を経つつも最終的には淳平と東城が結ばれることを前提に話が進んでいっているフシが見受けられます。
そのため、淳平と東城が結ばれない結末というのは、物語の構成としては矛盾だらけに感じる面があるのです。
つまり、「最後に物語の前提をひっくり返すのはどうなのよ!」ってことですね。
とはいえ、既定通りの結末にならなかったことが、ある意味リアルに感じます。
人生には思い通りにいかないことがありますし、タイミング1つで大きく運命が変わることもあります。
運命の相手だと思っていた相手でも、付き合ってみたら全然イメージと違ったなんてことありますよね。
運命の赤い糸なんて存在しないような気さえしてきます(笑)。
そういう意味において、いちご100%は「運命なんて何かのきっかけで大きく変わるんだ!」とを感じさせてくれる作品だと思います。
だから行動を起こす(きっかけを作る)ことが大切だとも思うのです。
アラサーになって久しぶりに読み返した「いちご100%」。
連載当時とは少なからず自分の価値観も変わっていて、読後の感じ方も異なりました。
あなたも昔好きだった漫画を読み返してみてはどうでしょうか?
改めて読んだら、別のキャラクターが好きになるなんてことあるかもしれませんよ。