2017/03/15
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目次
日本の学歴は「どこの学校に入ったか」?
最近、海外留学に興味を持ち始めたことで、留学について書かれた書籍を読み漁っています。
そんな中、読んだ本の一冊に気になった文章がありました。
日本で学歴というと、「どこの学校に入ったか」が問われます。「●●大学中退」という表現がまかり通っているのがその証拠です。しかし、アメリカでは「学歴」というのは「どこの学校を卒業したか」ということ。
(「留学で夢もお金も失う日本人~大金を投じて留学に失敗しないために~」栄陽子著)
今まで筆者自身はあまり気にしていなかったのですが、言われてみればそういう部分がある気がしました。
例えば、テレビで活躍するタレントが大学の中退を示す場合は多いでしょう。
クイズ番組などでは「●●大学中退」といったプロフィールで登場する解答者をよく見かけます。
まぁ、芸能界自体は入るために必ずしも学歴が必要とされる世界ではないですが。
そこで、今回は「大学中退」について少し調べてみることにしました。
最終学歴って何
「大学中退」の扱いについて調べる中で出てきたあるワードがあります。
「最終学歴」
みなさん、この言葉の意味を把握していますか?
最終学歴なんだから、最後に通った学校を卒業したかどうかじゃないの?
そう思った方は、実は間違っています。
最終学歴とは、“最も高い水準の教育機関を卒業した経歴”を指します。
引用元:最終学歴とはどういう意味?|エンジャパンの転職大辞典|エン転職
転職サイト「エン・ジャパン」では上記のように解説されていました。
「最終」の表す意味とは、「最も高い水準の教育機関」であって「最後に通った学校」ではないのです。
例えば、4年制大学を卒業した後で専門学校に2年間通って卒業した場合は、最終学歴は「専門学校卒」ではなく「大学卒」になるのです。
そして、もう1つ重要なのが「卒業した経歴」というところ。
あくまで卒業して初めて最終学歴になります。
「●●大学中退」というのは最終学歴にはなりません。
例えば、「A高校からB大学(4年生)へ進学し、B大学を中退」した場合は、最終学歴としては「A高校卒」と言わなくてはならないのです。
「大学中退」は履歴書に書く
では、「●●大学中退」ってどこで出てくるのでしょう?
代表的なのは、就職活動で必要となる履歴書の学歴欄ですね。
基本的には履歴書には大学中退は書くべきとのことです。
理由は、学歴も職歴も記載されていないと、採用担当者は「この期間何をしていたんだろう?」と疑問を感じてしまうからです。
引用元:最終学歴とはどういう意味?|エンジャパンの転職大辞典|エン転職
空白期間をできる限り埋めるためということですね。
書かなくても疑問に思われて突っつかれるなら、最初から書いてしまった方がいいのでしょう。
中退の理由如何では、企業側も考慮してくれる場合があるようです。
また、新卒の場合は学歴に大きく目が向きますが、転職の場合は学歴よりも職歴の方が重視されるとのことです。
学歴欄には「大学中退」まで書くことが一般的。
あくまでも自分の経歴を示すうえでは、「大学中退」という表現はされるものなんですね。
大学に入るためにすごく勉強する日本
日本にある大学もピンキリですが、トップレベルの大学に入るためにはかなりの受験勉強が必要となります。
進学塾・予備校に通う高校生も多く、土日ともなれば1日十何時間勉強するなんて話もザラです。
でも、入学するための受験勉強と比べると、大学卒業のための勉強にはそこまでの厳しさは無い印象があります。
もちろん、学校や専攻、研究内容によっても異なるでしょうが、大学は「レジャーランド」と揶揄されている面もありますよね。
筆者自身は某国立大学を卒業していますが、卒業するのが大変だったという感覚はありません。
もちろん、単位を取るためにテスト勉強や課題の提出はちゃんとしましたが、バイトやレジャーを普通に楽しんでいましたしね。
大学入試は他人との競争の部分がありますが、大学卒業自体は他人との競争ではないというのも関係はしていると思います。
入試には倍率(入学者の人数制限)がありますが、卒業に倍率(卒業できる人数制限)はないですしね。
卒業はやるべきことをしっかりやれば認められる面があるので、卒業自体を目的とするのであれば最低限必要なことさえしておけばいい。
そういう意味では、日本の大学は、入学よりも卒業の方が努力のハードルが下がると言えます。
入学に際しての努力の度合いが大きい分、「(難関)大学に入った」こと自体が評価されやすい風潮はあると思います。
「入っただけでも凄い」みたいな。
ちなみに、筆者はアメリカの大学については全然詳しくないのですが、調べてみると大学ではかなり勉強をするみたいです。
アメリカは単位を取ったり卒業をするための勉強がかなり大変らしく、卒業率は5割ほどといった話もありました。
その一方で、入試の制度も日本とは大きく違うようで、SATという何度でも受けられるテストの結果、GPAという通知表のようなもの、それに加えパーソナル・ステートメントという人間性(自己紹介文・課外活動実績など)も評価の対象とされるようです。
日本のように、単純に学力テストの点数だけで合否が分かれることはないとのことです。
学力レベルについての門戸は比較的広いと言えるかもしれません。
「ただし難関大学に限る」みたいな
厳密に言えば、日本の学歴は「どこの学校に入ったか」が問われているわけではないでしょう。
「大学に入ったことで一定の評価を得られる」風潮があると言った方が正しいのかなとは思います。
そのあたり、入学前に受験競争を勝ち抜いた点と、入学と比べて卒業が簡単だと言われることが影響していそうです。
また、「中退がまかり通っている」というよりは、「中退もちゃんと経歴としてあげるのが一般的」となっていることから、そういう表現が日常的に使われるようになっているのだとも思います。
まぁ、経歴上の事実としては「大学中退」はあるわけですしね。
そして、中退が一定の力を発揮するのは、難関大学の場合だけでしょう。
最後に余談です。
「●●大学中退」って、1日通っただけで退学しても「●●大学中退」と言えるわけです。
その大学の卒業に必要な履修はほぼしていないにも関わらず、その大学名の冠詞を付けることができます。
そんな中、筆者は大学に数日通っただけで中退したタレントが「●●大学中退」というプロフィールでテレビに出ていると、少し疑問に思うことがあります。
確かにその大学に合格はして、わずかながらでも通ったのなら表現に間違いはないでしょう。
でも、すぐに大学中退した人の「大学中退」に至る成果(大学合格)のほとんどは、高校時代(浪人時代)のものではないでしょうか。
通ってすぐに辞めた大学のものではないと思います。
「●●大学中退」は間違ってはいないんだけど、その大学での実績はゼロなのに大学の名前が出てくるのってなんか腑に落ちません。
もちろん、有名大学であれば大学名を使った方が注目もされるでしょうから、仕方のないことだとは思います。
ただ、せめて1年くらいは通ったうえで、「●●大学中退」としてほしいなぁ。