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コンテスト断念し甲子園応援へ!秀岳館吹奏楽部の決断をどう考える?

time 2016/08/17

コンテスト断念し甲子園応援へ!秀岳館吹奏楽部の決断をどう考える?

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目次

甲子園期間中に取り上げられた1つの美談!?

熱い熱戦が繰り広げられている全国高校野球選手権大会。
点の取り合いや大逆転ゲームもあって、打撃が目立った大会になっていますね。

そんな高校野球に絡んで1つのニュースが流れていました。

秀岳館吹奏楽部「野球部と日本一に」 大会断念し甲子園へ

甲子園のスタンドでもう一つの夏が燃焼した。16日の全国高校野球選手権大会で、秀岳館(熊本)のベスト8進出を支えた同高吹奏楽部。部員たちは、この夏の吹奏楽コンテストの南九州大会出場をあきらめ、全国制覇を目指すナインとの夏を選んだ。
引用元:秀岳館吹奏楽部「野球部と日本一に」 大会断念し甲子園へ

上記はニュース記事の冒頭部の引用です。
簡単に言えば、甲子園に出場した熊本・秀岳館高校の吹奏楽部は、甲子園と日程の重なるため南九州大会出場を断念して、野球部の応援をする道を選んだという話です。

記事全体としては、甲子園応援を決めた経緯として以下のようなことが書かれていました。

・2日間にわたった職員会議では、学校の教員の多くはコンテストに出るべきと主張した
・3年生の吹奏楽部員の中には、コンテストに出たいと涙を流す部員もいた
・部長が顧問に野球部応援をする決断を伝えた
・吹奏楽部は南九州大会出場のための県予選には出場し、金賞を受賞した

ニュース記事ではこの件を美談としてまとめていますが、筆者はモヤモヤとしたものを感じます

この件については、ネット上でも賛否両論あるようです。

【前提】応援を決断した生徒にとっては美談であるべき

まず、コンテストよりも野球部応援を優先する結論を出した吹奏楽部員の決断自体は、正当化され尊重されなくてはなりません

甲子園で野球部を応援する吹奏楽部員たち本人にとっては、美談・英断であるべきだと思います
そうでなくては、コンテストに出たいと思っていた部員が報われません。

熱い甲子園で野球部の勝利のために一生懸命応援する吹奏楽部員たちには、「甲子園に来てよかった」と感じてほしいものです。

秀岳館野球部にも、吹奏楽部員の思いにこたえる戦いを繰り広げることを期待します。

意味が解らない2日間の職員会議

さて、ここからは筆者のモヤモヤについて書いていきます。

この2日間にわたっての職員会議は何なのでしょう?

野球部が甲子園を決めたことで、「コンテストではなく甲子園で演奏したい」という申し出が吹奏楽部員の総意としてあったため、職員会議をしたというのならわかります。

でも記事の文面から推察するに、そのケースはないでしょう。

そうではないのなら、「甲子園か、コンテストか」なんて議題自体がおかしな話だと思います。

「コンテストに出たい」部員がいる時点で、「コンテストで吹奏楽部が甲子園に行けないからどうすべきか?」という方向で話し合うべきでしょう?

「甲子園か、コンテストか」なんて議論をして、最終決定を吹奏楽部に委ねたら、部員たちは周囲に色々と気を遣うじゃないですか。

同調圧力はなかったか

「甲子園か、コンテストか」の決定を吹奏楽部員に委ねた場合、吹奏楽部員は本当に自分たちが納得のいく結論を出せるのでしょうか?

筆者は100%正直な気持ちに基づいての決断は難しいと思います。

だって、この2択でコンテストを選んだら、自分本位な感じがするじゃないですか。
もちろん、コンテストのために甲子園応援に参加できないことは、責められるべきことではありません。

でも、彼らは応援のメインとなる吹奏楽部なのです。

不参加の結果、野球部が負けたら後味が悪くなります。
全校生徒のほとんどが野球部を応援する中で、要である吹奏楽部がいなかったら違和感を抱く場合もあるでしょう。
自分たちが参加しなかったら、OB・OGが駆り出されたりといったことで、誰かに迷惑がかかることを考える部員もいるでしょう。

コンテストに出たくても、色々な事情を考慮して「仕方がない」と判断して、甲子園応援を決める場合だってあり得るのです。

演奏がなければチアリーディングもできず、応援が一つにならない。
引用元:秀岳館吹奏楽部「野球部と日本一に」 大会断念し甲子園へ

上記はニュース記事の引用ですが、この文章が筆者には「仕方がない」決定だったことを表しているようにみえます

「応援を一つにする」とは何なのでしょうか?

ブラスバンドの生演奏が無くてもチアはできます。
また、自校の吹奏楽部が参加できないのなら、OB・OGや近隣校の吹奏楽部に協力を依頼するなど、やり方はあるハズ。

それを考えると、「応援を一つにする」とは理想的な甲子園応援を作り上げることなのではないでしょうか。

上で紹介した記事の引用の裏には、
「生演奏でなくても本当はできるけど、やっぱり生演奏がいいよね」
「OB・OGや近くの学校に頼むこともできるけど、やっぱり自校の吹奏楽部でやるのがベストだよね」
ということがあるのようにみえます。

やるからには理想的な応援にしたくて、それには自校の吹奏楽部が必要であるということ。
吹奏楽部は欠けるべきではない存在だと認識されているようにもとれるのです。
雰囲気的に甲子園を選ぶべきという同調圧力のような空気になっていたとしてもおかしくないでしょう。

記事には、決断を顧問に伝えた部長の目は真っ赤だったと書かれていました。

生徒の意思で甲子園応援を決めた印象を受けますが、「喜んで甲子園へ行く」のと「仕方なく甲子園へ行く」のは全然違いますからね。
いくら生徒の決めたことでも、不本意な結論を出したようであれば、正直な意見の結論を出させるべきだと思います。

吹奏楽部が甲子園応援をやりたがっていたのならいいですが、そうでないのならコンテスト出場ありきの決定を学校が下すべきだったのではないでしょうか。

吹奏楽部員の意思でコンテスト断念を決めたと言えば聞こえはいいですが、学校は残酷な選択を生徒に委ねた気がしてなりません

もちろん、これは筆者の想像であって、まったく違った考えから吹奏楽部が決断を下しているかもしれません。
前向きに考えられた末の決断であったことを願います。

甲子園は吹奏楽憧れの舞台?

吹奏楽部員の中には甲子園で演奏することに憧れている人も結構いるのではないか?

本記事を作っている中でこのようなことを思いました。

「甲子園の応援を見たことををきっかけに吹奏楽に興味を持った」という話をどこかで聞いたことがあるからです。

実際のところはわかりませんが、もし甲子園での演奏に魅力を感じている部員が多くいた上での結論であったら、その判断はわからなくもありません。
もちろん、コンテストの方に出たい部員がいた時点で、スッキリとはしませんが。

ネット上の意見には、野球部の応援ために吹奏楽部が犠牲になっているといった意見も見られます。
でも、甲子園での演奏そのものが吹奏楽をする人間にとって魅力的なものであるのであれば、どうでしょうか。

「野球部の応援」というよりは「甲子園での演奏」を目的に甲子園応援に参加しているのであれば、犠牲になっている気はあまりしません
あくまでのコンテストよりも甲子園応援の方が魅力的であれば・・・の話ですが。

あと、秀岳館は選抜に出てベスト4まで勝ち進んでいるので、甲子園での応援は吹奏楽部員は経験しているハズなんです。
好きな人は何度やってもいいと思うのでしょうけど、すでに経験済みだからコンテストを優先させるという結論にはならなかったんですよね。

夏の大会には無かった応援団賞

ところで、甲子園大会には「応援団賞」というものがあります
「応援団賞」とは、各校の応援団が審査されて表彰されるものです。

この応援団賞の審査は、各校の初戦の応援が対象となります。
初戦が審査対象なのは、勝ち上がったチームが有利にならないためです。

筆者は秀岳館吹奏楽部がコンテストを断念した背景には、この「応援団賞」の存在があるのでは?と思っていました。
なぜなら、コンテストは1日だけのようなので、野球部の勝ち上りを願ってコンテスト後に甲子園に行く機会もある気がしたからです。

応援団賞を狙うにあたり、初戦でクオリティの高いものを用意したいが、それには吹奏楽部の参加が必要。
そういった事情もあって、コンテストを断念したという推測です。

しかし、この考えは外れていました。
なぜなら、応援団賞があるのは春の選抜大会だけで、夏の甲子園大会には無いからです。

おそらく、夏の大会に応援団賞が無いのは、出場決定から本大会までに時間が無いからというのがあるのではないでしょうか。
選抜は出場決定から大会までに時間があるので、しっかりと応援の練習をしたうえで望めますもんね。

ただ、そうなってくると、余計に秀岳館吹奏楽部の決定についてはモヤモヤしてしまうわけですが・・・

まぁ、今回の件は大きな話題になっているため、応援団賞が存在していたら審査に変なバイアスがかかってしまったかもしれませんね。
それを考えると、夏の大会に応援団賞が無くて良かったかもしれません。

おわりに

今回の件は、甲子園大会が大きくなりすぎていることも一因だと思います。

注目度が高い甲子園大会では、全校生徒動員で応援に行く学校もあります。
また、テレビ中継されることもあって、見栄えをよくするために自校の応援にも気合を入れようといった心理も働くでしょう。

それが悪いことだとは思いませんが、同時に野球だけが優遇されているように見える部分はあります

私が知らないだけかもしれませんが、ほとんどの高校スポーツの全国大会で大応援団が組まれることは無いように思います。
たいていの場合、応援席を陣取るのはメンバー外の部員や選手の家族、親しい友達くらいでしょう。

それが野球部が甲子園に出るとなると、全然話が変わってくる。

もちろん、スポーツごとに注目度や活動の予算、宣伝効果などは違ってくるので、仕方のない面はあるでしょう。
しかし、それゆえに負の側面というものはどうしても出てきてしまいます。

受け入れなければいけないこともあるでしょうし、改善すべき点もあるでしょう。
なんにしても、一朝一夕で解決することではないですよね。

今回の秀岳館高校吹奏楽部のコンテスト断念および甲子園応援はすでに起きたあとのことなので、当事者たちにとって良い結果であることを願います

※本記事ではニュース記事にしたがって「コンテスト」と表記しています

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